都市計画と農地の種類について
農地転用での「許可」または「届出」の分かれ目
自分の農地を宅地などへの転用にあたり、行政機関の「許可」が必要な場合や、「届出」で済む場合があります。その「許可」と「届出」に分かれる要因のひとつに、その農地の存在する場所が関係しますが、その所在について取り決めている「都市計画」や「区域区分」、「用途地域」および「農地の種類」について簡単にご説明しておきます。
都市計画法
街づくりのための法律として「都市計画法」があり、この法律により「都市計画区域」が定められます。その「都市計画区域」は大きく「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分されます。
「市街化区域」と「市街化調整区域」
「市街化区域」は積極的に街づくりを推進していく地域で、住居地域や商業地域、工業地域などに大きく分かれ、さらにそれらは下記の12種類の「用途地域」に細分化されます。
逆に「市街化調整区域」はあまり手をつけずに自然を残していこうといった地域です。
「市街化区域」・・転用は「届出」で済みます
「市街化区域」は、12種類の「用途地域」に細分化されています。このような地域の周辺では市街化が決定していますので、農地を売ったり、転用したりするのは、許可されやすいです。(市街化区域内なら転用は「届出」で済みます)
ただ、気をつけないといけないのは、このような区域では、建物の建築基準等が定まっているため、「自分の農地は市街化区域周辺だから安心だと思って転用したら、建物が都市計画法や建築基準法に合わずに予定通りに建てられなかった」といったことにもなりかねません。
農地を他の土地にする転用する場合、その後の用途について考えておくことが必要なのです。
ですから、たとえ市街地に近い場所に農地を所有する場合でも、その土地を宅地や商業用地に転用する時は、市役所などの都市計画課に転用後の建物の規模等を伝え、建てられるかどうかを確認することが第一です。(例えば、小学校に近いところに田畑を所有していて、転用後に風俗営業施設を作りたくても無理といった感じです)
「市街化調整区域」・・転用は「許可」が必要です
「市街化調整区域」は、自然を残し、手をつけないのが基本のため、農地転用についても審査は厳しくなります。
農地法の規制で重要なのは、この「市街化調整区域」での農地処分になります。
この「市街化調整区域」内では農業上の土地利用を積極的に行なうため、農振法(農業振興地域の整備に関する法律)の「農用地区域(あお地区)」が設定されている場合が多く、この「農用地区域」での転用は原則許可されません。また、「農用地区域」以外の農地も、良好な営農条件を備える農地については、転用が非常に厳しく制限されています。
以上「都市計画」とそれにより「都市計画区域」に区分けされた「市街化区域」、「市街化調整区域」、そして以下にご説明します「農業振興地域」「農用地区域」を図にすると下記のようなイメージになります。
※これらの区分の他にも「区域区分の定めのない都市計画区域」「準都市計画区域」他、都市計画法には定められておりますが、上図には代表的な区域を紹介するにとどめております。
また、大分市の都市計画区域をお知りになるにはパソコンで「おおいたマップ」と入力していただくと、大分市内を詳細に都市計画区域別に色分けしたページに行き着き、目あての場所がどのような地域なのかを見ることができます。(大分市以外の市町村も「○ ○ 市都市計画図」と入力すると見ることができると思います)
農地の種類
農用地区域内農地
向こう10年は農業を推進していこうという地区に「農業振興地域」というのがあります。さらにはこの「農業振興地域」内に「農用地区域(あお地区)」という特別な農業専用の区域が存在します。(上記図ご参照)ここは農業をするための場所であり、原則として農業以外に土地を利用することは認められていません。
さらに農地は「甲乙」の2種類に分かれます。
甲種農地
「市街化調整区域」内に存在する農業公共投資された生産力の高い優良農地で、宅地などへの転用は原則許可されません。公共事業などへの転用の例外が認められる、転用難易度が高い農地です。
乙種農地も「市街化調整区域」内に存在します。更に次の3つに分類されています。
第一種農地
この農地も生産力が高く、宅地などへの転用は原則許可されません。上記甲種農地よりは、若干厳しくない程度。同様に公共事業などに供する場合なら転用が認められる場合があります。
第二種農地
将来的に市街化される見込みのある農地や生産性の低い小さな農地の集まりに存在する場合で、周辺に転用できる土地が見当たらない場合などは転用許可される農地。
第三種農地
原則として転用は許可されます。市街地近くに存する農地や、市街化が著しい場所に存する農地です。
以上のように、「市街化調整区域内」では、農地の存在する場所、農地の生産性、規模などにより、転用の際の行政機関の「許可」の難易度に大きな違いがあります。
転用手続きの注意点
「市街化区域」内の農地であれば、転用の行政手続きより先に、目的(駐車場にするのか、宅地、商業用地なら建物の規模等)を決める必要がございますし、建物の場合、それが建築できる場所なのかを役所の都市計画課にて確認することが重要なポイントになります。
「市街化調整区域」の農地であれば、場所によって転用の難しさが変わりますので「農業振興地域」にあるのか、更にそこは「農用地区域」なのかを役所の農政課または農業委員会で確認することが先になります。なぜなら、原則転用不可の場所に農地があった場合、手を尽くして転用のための準備をしても、徒労に終わる可能性が高いからです。